皆さんは「分子整合栄養医学」という言葉を聞いたことがありますか?
ちんぷんかんぷんだニャ。
この言葉は、英語の”orthomolecular medicine”を日本語訳したもので、分子栄養学/分子栄養医学とかオーソモレキュラー医学/オーソモレキュラー栄養療法とも言われるよ。
あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、近年非常に注目されている医学分野なんです。
今回は、以下の点について、皆さんと一緒に見ていきたいと思います😊
分子整合栄養医学は、50年以上もの歴史のある学問、治療法です。
- 従来の栄養学
- 現代医学
では対応できなかった、
- 不定愁訴の改善
- 慢性疾患の根本的解決
が期待できるという点で、画期的な治療法と言えるでしょう。
しかし、現代人が抱える多くの健康に関する悩みを解決する可能性があるにも関わらず、あまり広く知られていません。
名前が難しくてとっつきにくいかもしれないけれど、分かりやすく解説するので、皆さんも一緒に学んでいこう!
わが輩の日中ボーっとする症状も良くなるニャ?
ねこさんは、夜行性だから無理バブゥ、、、
分子整合栄養医学(オーソモレキュラー栄養療法)ってなに?
分子整合栄養医学を一言で言うと?・・・
「栄養の個体差とその必要量を見極め、個人の持つ細胞の機能を最大化する学問」
と言うことができるでしょう。
皆さんは、以下のような状況を経験、あるいは見聞きしたことがありますか?
- Aさんは、食生活に全くと言って無関心で、生活習慣に特段の気を払っていないが、ここ数年風邪をひいたことがないと言う。私は、食生活にも気をつけ、生活習慣もきちんとしているつもりなのに、数ヶ月に1回程度は風邪をひいてしまう。
- Bさんは、〇〇というサプリメントを服用して調子が良くなったと言っていた。私も〇〇を同じように服用したが、全く効果がなかった。
まさに、これらの疑問や理由を明らかにする学問こそが、分子整合栄養医学(orthomolecular medicine)なのです!
いまいちピンとこないニャ。
そういう人のために、さらに掘り下げて行くよ!
“orthomolecular”という言葉の由来は?
1968年に、アメリカの化学者であるライナス・ポーリング博士が、初めて “Orthomolecular” という単語を用いました。
その時に発表された論文の名称が ”Orthomolecular Psychiatry:Varying the concentrations of substances normally present in the human body may control mental disease”(オーソモレキュラー精神医学:ヒトの体に通常存在している物質の濃度変化が、心の不調をコントロールする)です。
この “Orthomolecular Psychiatry” という単語を分解してみましょう!
-Ortho 整合(整える)
-molecular 分子
-Psychiatry 精神医学
「分子整合精神医学」って日本語訳することができるニャ。
そう、分子整合栄養医学は、もともと精神医学分野から発展したんだ!
その後、がん、アレルギー、消化器疾患、免疫そして不妊治療へと、応用の幅が広がっていきました。
こうして、あらゆる医学分野において応用可能ということが明らかとなり、”orthomolecular medicine”(分子整合栄養医学)という名称が用いられるようになりました。
それでは、もう少しだけ分子整合栄養医学(オーソモレキュラー栄養療法)の歴史を見て行こう!
眠くならないように説明してくれニャ〜
分子整合栄養医学の歴史
他にも、数々の「栄養と病気・治療」に関する研究や報告が積み重なり、今日の分子整合栄養医学(オーソモレキュラー栄養療法)が形作られていったのです。
従来の栄養学と分子整合栄養医学の違いは?
それでは、いよいよ本題に入っていきましょう!
分子整合栄養医学は、「栄養」を取り扱う学問ですが、従来の栄養学とは全く異なる学問です。
このように、従来の栄養学には統計的・平均的な考え方が多く、人にはそれぞれ(無視できないほどの)個人差(個体差)がある、ということについてあまり考えてきませんでした。
個体差とは?
私たちは皆、一人ひとり背景や性質が全く異なります。
人種、性別、居住環境、気候、生活環境、性格、遺伝子、生活習慣、嗜好、食材、人間関係、持病、経済レベル、ストレス、ウイルスなどの病原体 等
個人(個体)における以下の点は、これらの要因(ファクター)により大きく変化します。
- 代謝速度
- 酵素の働き方
- ホルモン状況
- 栄養の消耗・必要量
現代社会における、こういった様々なファクターに目を向けずに、一律な栄養摂取基準を設けることはナンセンスです。
分子整合栄養医学では、このような個体差を前提として、その人に最も合った栄養とその必要量を見極める、いわゆるテーラーメイドの栄養学なのです。
栄養状態を何で判断するか?
従来の栄養学では、一律に定められた栄養摂取基準に従うため、個人の栄養状態について詳しく評価することはありませんでした。
対して、分子整合栄養医学では、個人の栄養状態を詳細に評価し、その人に合った栄養アプローチをしていきます。
栄養状態の評価には、以下のような検査が用いられます。
- 血液検査
- 糖負荷検査
- ミネラル検査
- 遅延型(IgG型)食物アレルギー検査
- 唾液コルチゾール検査
等
中でも、血液検査は得られる情報量が多く、広く用いられている検査です。
ただし、分子整合栄養医学で用いる判断基準は、一般的な基準値とは異なるため注意が必要です。
血液検査を正しく解釈することは、分子整合栄養医学を理解する上で非常に重要ですので、別記事で詳しく解説したいと思います。
従来の栄養学と分子整合栄養医学の違い-まとめ-
従来の栄養学と分子整合栄養医学の違いについて、表にまとめましたので、参考にしてください。
従来の栄養学 | 比較項目 | 分子整合栄養医学 |
---|---|---|
飢餓や欠乏症の予防 | 栄養学が対象とする領域 | 飽食の時代に対応 →生活習慣病や慢性疾患を予防 |
マクロ管理、カロリー理論 | 考え方 | 細胞小器官、ビタミン・ミネラル 分子レベルの栄養論 |
統計と平均値に基づく | 栄養摂取基準 | 個体差を前提にテーラーメイド |
年齢、性別、BMI(体格指数) | 参考にする値 | 個体の酵素反応 |
重視していない(Alb程度) | 栄養状態の把握 に用いる検査 | 血液検査等による詳細な評価 |
現代医学と分子整合栄養医学の違いは?
栄養を扱う学問である分子整合栄養医学は、なぜ単に「栄養学」ではなく、「栄養『医』学」と呼ばれるのでしょうか?
それは、これまで見てきたように、分子整合栄養医学が、もともと体に存在する分子(栄養素)濃度を意図的に操作することで、病態を改善させる「治療法」として発展してきたからです。
じゃあ、分子整合栄養医学は現代医学とはどう違うバブ?
それでは、現代医学と分子整合栄養医学の違いについて見ていくよ!
症状・疾患は細胞の機能不全が原因である
分子整合栄養医学では、症状・疾患の原因を、酵素の量的あるいは酵素活性の不足による細胞の機能不全と捉えます。
ムズカシイ、難しいニャ〜> <
簡単に言うと、「個人の病気に打ち勝つ力が、細胞レベルで弱くなってるから、病気にかかる」という考え方だよ!
裏を返すと、細胞が機能不全を起こしている状態では、通常診療で治るものも治らないということです。
栄養素を最適な濃度に保つことは、体の自然治癒力を高めることとイコールですから、現代医療を受ける上でも大変重要なことなのです。
分子の局在
分子整合栄養医学では、分子(栄養素)の局在を細胞・組織レベルで考えることが重要です。
- 細胞膜を構成しているのは、どんな栄養素?
- 脳では、どんな栄養素が利用されている?
なぜなら、それがわからないことには、起きている現象(疾患)に対する栄養学的アプローチ(治療)ができないからです。
以下に細胞・組織レベルでの各分子(栄養素)の局在をまとめました。
ここはまだ難しいから、「ふ〜ん、〇〇には△△という栄養素が必要なんだ〜」くらいに見てもらえれば大丈夫だよ!
細胞の各器官 | 局在している栄養素 |
---|---|
細胞膜 | タンパク質、コレステロール、多価不飽和脂肪酸、その他脂肪酸、ビタミンE、アスタキサンチン、レシチン 等 |
ミトコンドリア | タンパク質、ビタミンB群、C、E、鉄、マグネシウム、CoQ10、セレン、α-リポ酸 等 |
細胞質 | タンパク質、グルタチオン、亜鉛、カルニチン、ビタミンA、C、D、マグネシウム、カリウム 等 |
臓器(組織) | 必要量の高い栄養素 |
---|---|
脳 | DHA、アラキドン酸、マグネシウム、亜鉛、鉄、ビタミンB群、C、E、D 等 |
肝臓 | ビタミンA、C、D、鉄、亜鉛、α-リポ酸 等 |
副腎 | ビタミンC、マグネシウム、βカロテン、亜鉛 等 |
腸 | ビタミンA、B群、D、グルタミン、酪酸、亜鉛、マグネシウム 等 |
上皮組織 | ビタミンA、D、K、亜鉛、多価不飽和脂肪酸 等 |
細胞・組織によって、こんなにも違いがあります。
個体差を生み出す「酵素反応」とは?
私たちの体の中のあらゆる反応には、もれなく「酵素反応」が関わっています。
同じ細胞・組織内でも、個体によって酵素反応に違いがあります。
生化学について詳しく解説するページではないので、ここはさらっと触れますが、酵素反応には次のような”分子”たちが関わっています。
- 基質(反応物)…酵素の作用を受けて化学反応を起こす物質
- 酵素…タンパク質で構成
- アポ酵素…補因子や補酵素と結合する前の、酵素活性を持たない酵素
- ホロ酵素…補因子や補酵素と結合した、酵素活性を持つ酵素
- 補因子…鉄・亜鉛・マグネシウムなどのミネラル。酵素を活性化するために必要
- 補酵素…ビタミンなどの有機物。酵素を活性化するために必要
- 生成物…酵素反応により基質が変化して生じる物質
このように、酵素反応には、タンパク質やビタミン・ミネラルの存在が必要不可欠なのです。
酵素と基質の反応の起こしやすさを親和性と言うんだけど、親和性は個体によって、10倍〜100倍も違っていると言われているよ。
酵素反応に個体差があるからこそ、その人その人に合わせたテーラーメイドの治療法が必要なんだニャ〜。
必要な栄養は食事だけで賄いきれるか?
分子整合栄養医学(オーソモレキュラー栄養療法)では、「病態を改善させるための分子の最適な濃度は、通常の食事からでは得られない」と考えます。
健康体のわが輩にも、サプリメントは必要ニャ?
現代人はほとんどの人が、質的栄養不足なんだ。健康と思っていても、一度検査してみて栄養療法を試してみる価値はあるよ。
現代医学と分子整合栄養医学の違い-まとめ-
それでは、現代医学と分子整合栄養医学の違いについてまとめましょう。
現代医学 | 比較項目 | 分子整合栄養医学 |
---|---|---|
対症療法 (症状を薬で抑え込む) | 治療の目標 | 根本治療 (分子を「最適な濃度」に保つことで、 自然治癒力を最大化する) |
組織ごとに生じる疾患・症候群 (脳神経系、消化器系、筋骨格系等) | 病気の捉え方 | 細胞・細胞小器官レベルで生じる 細胞の機能不全 |
食事で必要な栄養は充足される | 食事と栄養に対する考え方 | 食事では充足されない栄養不足が存在する |
病気になってから食事制限 | 栄養の位置付け | 予防、未病の段階から積極的に介入 |
分子整合栄養医学は万能な治療法か?
ここまでこのページを読んでいただいた人の中には、
「分子整合栄養医学は素晴らしい!」
「病気を根本から治すことができない現代医学は悪だ!」
という考えを持つ人がいるかもしれません。
しかし、現代医学と分子整合栄養医学を比較して、優劣を語ることがこのページの目的ではありません。
そもそもこのような治療法が存在することを皆さんに認知してもらい、その違いや特徴について理解していただくことが重要です。
筆者の考える理想の姿は、それぞれの違いや特徴について理解した上で、個別の事例ごとに適切な治療法を使い分ける、あるいは組み合わせるということです。
どっちが良い、悪いということじゃなく、知識として持っておくことが大事バブゥ。
とは言っても、冒頭でも申し上げた通り、分子整合栄養医学(オーソモレキュラー栄養療法)が、不定愁訴や慢性症状・疾患といった現代医学が苦手とする分野を、根本的に解決する可能性があることは事実です。
まずは知って、と、、、次はどうしたらいいニャ??
今つらい症状があるなら、分子整合栄養医学(オーソモレキュラー栄養療法)に理解のある専門家に相談してみよう!
分子整合栄養医学(オーソモレキュラー栄養療法)を導入している医療機関は、今や全国に3500箇所以上あると言われています(2021年4月時点*)。
いきなり医療機関を受診することに抵抗感がある方や、まずは第三者の意見を聞いてから検討したいという方もいらっしゃるでしょう。
うまとねこクリニックでは、そんな皆さんをサポートすべく、オンライン栄養・医学相談を実施しておりますので、ぜひ活用してみてください^ ^
さあ、これからみなさんも分子整合栄養医学について学び、これまで苦しめられてきた慢性的な不定愁訴の改善や、生活パフォーマンスの向上を目指してみませんか?
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