体が重くてだるい、、、
日中眠くて仕事に集中できない、、!
ちょっとしたことですぐイライラしてしまう、、!
健康診断ではなんの異常もなく、血液検査は全ての項目でA評価。
ストレスチェックで、少しストレスの多さを指摘されているくらい、、。
このような方の血液検査結果を見てみると、確かに全て「基準範囲」には収まっているけれど、”栄養医学的には”実は問題だらけ、、!ということがよくあります。
ということで、本日は以下の5点について解説していきたいと思います。
- 血液検査の「基準範囲」とは?
- 基準範囲内であっても「異常なし」とは言えない理由
- 「臨床判断値」とは?
- 健康診断や一般的なクリニックで「異常なし」と言われてしまう理由
- 血液検査の”栄養医学的な”評価ができるようになることのメリット
この記事を読み終わるころには、不定愁訴や慢性症状といったつらい症状を、自ら解決する道筋がつかめるはずです!
血液検査の「基準範囲」とは
血液検査の「基準範囲」と言われて、みなさんはピンと来ますか?
ぜひ、手元にある健康診断の結果を確認してみてください。
ありましたか?これですよ、これ↓
画像では「基準値」となっていますが、同じものを表します。
ふむふむ、わが輩は全部基準範囲内だったから、問題ない二ャ。
きっと多くの人が、自分の「結果」と「基準範囲」を見比べて、そこに収まっていれば「正常」と捉えているんだろうな〜。
え、違うのかバブゥ!、、?
血液検査おける「基準範囲」は、以下のように定義されています。
基準範囲は、一定の基準を満たす健常者(基準個体)の検査値分布の中央の95%区間として設定され、検査値を判読する基準(めやす)となる。しかし、正常・異常を区別したり、特定の病態の有無を判断する値ではない。
日本臨床検査医学会(JSLM) 参照日:2022/05/11
「文章が固くてわかりにくい!」という方に向けて、簡単に噛み砕いて説明すると、、
「基準範囲」はあくまで、統計的な手法を用いて算出した「参考値」です。
病気か健康かを判断する「正常値」ではないということに注意しましょう!
基準範囲内であっても「異常なし」とは言えない理由
ということで、皆さんはもう、この質問に答えられますよね?
それでは、血液検査で正常・異常の区別や、病気を疑う場合の判断には、どんな”めやす”が必要なのでしょうか?
「臨床判断値」とは
またまた難しい用語が出てきました。
- ある病気を診断・治療したい!
- 病気を予防したい!
このような判断をするときに用いられる値のことを、「臨床判断値」と言います。
具体的に解説する方がわかりやすいと思うので、
健康診断の項目であり、”悪玉”としても知られる「LDLコレステロール値」を例に取りましょう。
数値が同じでも、人によって「問題あり/なし」が変わる!?
今ここに、2人の成人男性がいます。
2人とも、血液検査の結果「LDLコレステロール値」がともに”110 mg/dL”でした。
それぞれのプロフィールは、以下の通りです。
生来健康な30歳男性。職場での健康診断で血液検査を実施。
数ヶ月前に「急性心筋梗塞」を患い、複数のお薬を飲んでいる50代男性。定期外来で血液検査を実施。
この場合、LDLコレステロール値は2人とも同じ値でしたが、それぞれ以下のように全く異なるアドバイスをされることになります。
Aさんは、全く問題ありません。このままの調子で頑張りましょう!
Bさんは、数値が高めでしたね。お薬を追加で処方しときます!
どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?
健康な人の”めやす”と、病気がある人の”めやす”は異なる
健康な人の「生活習慣病の予防」という観点からは、LDLコレステロール:120 mg/dL未満であれば、無条件で”異常なし”と判断されます。
対して、「急性心筋梗塞後の管理目標値」は、それよりも大分厳しくなり、LDLコレステロール: 70 mg/dL以上の人は”薬物治療の対象”と言われてしまうのです。*
人によって、適切な臨床判断値は都度かわる
上記の例では、同じ”LDLコレステロール:110 mg/dL”という値でも、その人がどんな背景(病気)を抱えているかで判断に用いる目安が変わりました。
このように血液検査の値は、人によって「臨床判断値」を使い分けて、結果を解釈しなければならないのです。
このことが理解できると、次の問いに答えることができると思います。
健康診断や一般的なクリニックで「異常なし」と言われてしまう理由
つらい症状があるにも関わらず、「異常なし」と言われることが多いのはどうしてでしょうか?
答えは、こうです。
一般的な「臨床判断値」を用いるのではなく、”不定愁訴や慢性症状専用の”「臨床判断値」で評価する必要がある、ということです。
それでは、
- 不定愁訴や慢性症状を訴える人は、どのような「背景」があることが多いのか?
- そのような「背景」を考慮に入れたときに有用な「臨床判断値」はどのようなものか?
この疑問を解決するのが、まさに「栄養医学」なのです。
ここでも、具体例を挙げて解説していきます。
不定愁訴や慢性症状の背景に潜む、〇〇の問題
- ASTやALTという値は、一般的には「肝機能障害」の指標として用いられる値です。
- AST、ALTの「基準範囲」は、検査会社によって多少の違いがありますが、
- AST:10−40 U/L
- ALT:5−45 U/L
という値が、一般的に用いられることが多いです。
- 肝機能障害の診断に用いる際の「臨床判断値」は、概ね「基準範囲」と重なります。
(基準範囲内であれば、肝機能障害の評価において、正常と言っても概ね差し支えない、ということ)
この前提を元に、以下の例を見ていきましょう。
「慢性的な倦怠感や、疲労感」といった症状を訴える、40代女性、Cさん
6ヶ月以上も、なんとなくだるかったり、疲れやすかったりするんです、、、
血液検査では、特に異常を指摘されていません。ASTとALTの値は以下の通りでした。
- AST:18 U/L
- ALT:13 U/L
確かに、どちらも基準範囲内ですので、普通の医療者であれば気にも留めることがないでしょう。
その他の値も異常なしと判断されていますから、「歳のせい」とかなんとか言われて、睡眠導入剤やら精神安定剤やらを処方されて、お茶を濁されるのが関の山でしょう。
それが現代医療の限界です。
しかし、栄養医学を勉強すると、これは「タンパク質代謝の低下と、ビタミンB6の不足に伴う諸症状」という風に推測することができます。
※詳しい検査値の読み方は別記事で解説しますので、今は「そういう読み方もできるのか」程度に留めていただければと思います。
つまり、「AST:10−40 U/L、ALT:5−45 U/L」という、肝機能障害を評価する臨床判断値ではなく、このような場合には「栄養医学的な」臨床判断値を用いるのが適切であると考えられます。
なぜならば、不定愁訴や慢性症状の背景には、栄養の問題が隠れていることが非常に多いからです。
実際に、Cさんのような訴えの人に、
- プロテインやビタミンB群のサプリメントを飲んでもらう
- 食事に占める肉や魚の割合を増やすことを意識してもらう
このように指導することで、これまでの症状が嘘のようにスッキリなくなってしまうということが、しばしば起こり得ます。
血液検査の”栄養医学的な”評価ができるようになることのメリット
少し難しい内容でしたが、皆さんついてこれましたか?
ここまで読んでいただいた方の中には、以下ように感じる方もいらっしゃるでしょう。
「こんな小難しい話、私たち一般人が理解する必要ってあるの、、?」
「医療者が判断して、適切な治療してくれたらそれでいいんだけどな、、、」
このように思われる気持ちもわかります。(笑)
しかし、この記事で取り扱っている内容は、「栄養」という誰もが当たり前に普段から摂っているものです。
- 栄養を整えるだけで心身の調子がよくなることが多い
- にも関わらず、ほとんどの人がその部分に目を向けない
挙げ句の果てには、
- 薬で症状を抑え込んだり
- 巷に溢れる断片的な医療情報に左右されたり
してしまう人がほとんどです。
栄養医学を一度身につけた者からしてみると、「非常にもったいない!」と感じざるを得ません。
栄養の問題は自分自身で変えられる!
食事は個人の生活の一部ですから、他人である医療者にとっては中々介入が難しい部分です。
逆にいうと、
正しい知識さえ身につけられれば、身近な医療問題はセルフケアできる!
私が皆さんにお伝えしたいのは、まさにこれです。
なんでも人任せにせず、自分で管理できることは自分で管理する方がうまくいきます。
自分のことは自分が一番よく知っていますからね^ ^
質の良いサプリメントを適切に取り入れよう!
栄養療法では食生活を変えることはもちろん重要ですが、それだけではなく、積極的に病態を改善させるためにはサプリメントも適切に取り入れることが大事だと考えます。
- サプリメントは、医師の処方箋がなくとも自分で購入することができる。
- インターネットの発達したこの時代、良質なサプリメントが誰でも簡単に、しかもお手頃な価格で手に入る。
これらの点も、医療者まかせではなく、自ら体調を整えることを後押しする理由になります。
おすすめのサプリメント一覧は、こちら。
どのようにどれくらい服用したらいいかわからないという人も多いと思うので、YouTubeの方でも今後発信していきたいと思います。
まとめ
今回は、次の5点について解説しました!
- 血液検査の「基準範囲」とは?
- 基準範囲内であっても「異常なし」とは言えない理由
- 「臨床判断値」とは?
- 健康診断や一般的なクリニックで「異常なし」と言われてしまう理由
- 一般人がでも、血液検査の”栄養医学的な”評価ができるようになることのメリット
それぞれの項目で解説したことを簡単にまとめると、次のようになります。
- 健康な人の95%が含まれる、値の範囲のこと
- 正常範囲とは限らない
∴ 基準範囲内であっても「異常なし」とは言えません!
- ”ある特定の病態”を「診断、治療、予防する」ために”個別に”用いられる判断基準のこと
- その検査値の背景に、どんな問題を抱えているか?で使い分ける必要がある
❗️ 多くの不定愁訴や慢性症状の背景には、”栄養医学的な”問題が隠されている
∴ 適切な「臨床判断値」を用いて評価する必要がある!
- 薬に頼ったり、病院や医療者に全てを丸投げしたりせず、
- 食事や栄養という、誰もが当たり前に普段から摂取するものに注意を払い、
- 自分の体のことをよく知り、考えて、自ら対応できるようにする!
ことです^ ^
さいごに…
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました^ ^
最後に、エピクテトスという古代ギリシャの哲学者が遺した、こんな名言を紹介を残して締めくくりたいと思います。
”it is impossible for anyone to begin to learn that which he thinks he already knows”
出典:philosiblog(参照;2022/05/14)
「ヒトは、すでに知っていると思うことを学び始めることが不可能な生き物である」
すでに、「自分は、医学や栄養学に熟知している」と思い込んでいる医者や栄養士たちが、現代医学や従来の栄養学にしがみつくというのは、避けられないことなのかもしれません。(笑)
つまり、医学や栄養学を学んでこなかった皆さんの方が、
- 素直に
- よりフラットに
- 自ら情報の確からしさを吟味して
正しい情報をインプットできる可能性が高いということです。
とは言っても医療は義務教育では習いませんし、専門用語なども多く一般の方にはとっつきにくい分野だと思います。
うまとねこクリニックでは、
「健康でありたいと願う全ての人に、健康を。」
というテーマを掲げ、
「不定愁訴や慢性症状に長年悩んできた皆さんの症状克服」をサポートするべく、オンライン相談を実施しております。
ぜひお気軽にご連絡ください^ ^
コメント