冒頭の画像は、農林水産省の「食事バランスガイド」です。
バランスの良い食事のお手本として、日本人の食生活の指針とされています。
みなさんも、どこかで一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
また、こちらは厚生労働省が5年ごとに発表する「日本人の食事摂取基準」の2020年最新版です。
俗に言う「カロリー」を指標に、それぞれの栄養素をどれくらいの割合(%)で摂取すれば良いのか、目安を示しています。
どちらも公的機関が出しており、一見信頼性が高いような気がしますよね。
しかし近年、これら指針には明らかな欠陥があるという認識が様々な医師により指摘されています。
にゃ、にゃ、にゃんだってー!!
どんな欠陥があるのか気になるバブ〜、、
このページは、「バランスの良い食事」という通念に対して疑問を投げかけ、あなたにとって最適な食事を提案することが目的です。
現在自分の食生活や健康に不安がある人、種々の症状を抱えて悩んでいる人は、ぜひ本記事を参考に、自分の食生活を見つめ直すきっかけにしていただければ幸いです。
なお、私の考える「最適」の定義は以下の通りです。
上記①、②を満たす食事は、一人一人異なって当然です。
一方で、基本となる考え方には共通する部分も多いため、ポイントを押さえておくことは真に「バランスの良い食生活」を送る上で、非常に有益です。
健康的な食事は「理想のカラダ」を実現する
前述した最適な食生活のうち、一つ目の「健康的である」食生活を実現するためには、以下の3点がとても重要です。
- 精製された食品を常食しないこと
- 三大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)の摂取量を適切にコントロールし、体内で利用される栄養素を整えること
精製された食品には、体調を非常に不安定にさせる作用を持つものがあるため、特に注意が必要です。
代表的な精製された食品は以下の2つです。
- 砂糖
- 小麦粉
これらについては後述します。
三大栄養素のコントロールに関しては、筋トレやダイエットをしたことがある人なら
- マクロ管理法*
- マクロバランス*
という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、基本的な考え方は同じです。
「マクロ管理法」とは、効率良く筋肉をつけたい、ダイエットしたいという人たちが、摂取すべき「マクロ」の比率(=マクロバランス)を自身の体型や活動量などから計算して、実践する食事法のことです。
ここで紹介するは、マクロの比率が一般に浸透している数字とは異なります。
そして、一般に浸透している数字よりも、理想とするカラダに近づきつつ、体調も良くなることが実感できるはずです。
カロリー制限はするな
最近太ってきたニャ。大好物の脂の乗った子持ちししゃもはおあずけにして、カロリーの低い昆布でもしゃぶるかニャ〜
ねこさん、その考え方はもう古いよ!
- 「痩せたい」
- 「できるだけ脂肪はつけずに筋肉をつけたい」
このような悩み、目標のある方が最もやりがちなことがカロリー制限です。
多くの場合、脂質を制限してしまいます。
しかし多くの方がいまだに勘違いしていることですが、カロリー制限(≒脂質制限)は一時的な減量効果は得られるものの、長期的にはリバウンドの原因になるだけでなく、様々な不調の原因となってしまう可能性があるのでおすすめできません。
むしろ、良質な脂質を上手に摂取することで、脂肪燃焼されやすい体作りが可能となることも明らかになっており、「脂質=太る、悪」というのはすでに時代遅れな考え方です。
それは知らなかったニャ。子持ちししゃもにシメサバも加えるニャ♡
食べすぎには注意してバブぅ、、
ねこさんにはすんなり受け入れられたようですが、
- 「脂質は太るから避けた方が良いと言われてきた」
- 「動物性脂肪は動脈硬化や心筋梗塞の原因になるから減らすよう指導されてきた」
という多くの日本人にとっては、食事全体に占める脂質の割合が多くなるこの食事法は、そう簡単には受け入れられないと思います。
その辺りについても本記事できちんとフォローしながら書き進めていくので、ぜひ最後まで根気強く読み進めてみてください。
さて、ここからがいよいよ本題となります。
あなたにとって最適な食事を一緒に考えていきましょう!
まずは、あなたの一日当たりの必要エネルギー量(推定エネルギー必要量:EER)を知る必要があります。
推定エネルギー必要量(EER)
EERを知る上で重要なことは、以下の2点です。
- その人の体質、どの程度活動するかによって数字は大きく変わってしまうので、正確な数字を知る必要はないということ
- 基準となる数字をベースに食事を摂ってみて、多いと感じたら減らす、少ないと感じたら増やす、といった作業を繰り返しながら、最も自分に合った食事量、栄養バランスを探っていくこと
農林水産省が以下のような表を出しているので参考にするのはアリです。(表の「主食いくつ、副菜いくつ…」という表現はいったんスルーしましょう。役に立つ考え方なのですが、残念ながら量の設定が健康的ではないからです。)
自分の性別と年齢、身体活動量を当てはめてみて、自身のEERの目安を割り出してみましょう。
ただし、この表で得られる数値にはかなり幅があるので迷う人もいるでしょう。
そこでおすすめなのが以下の式(男女共通)です。
EER(kcal)=なりたい体重(kg)×40
・普段運動をしない、活動量の少ない事務職・デスクワーク中心の方→(上記)×0.8
・標準的な運動量、歩くことが多い仕事の方→そのまま
・しっかりとした運動習慣がある、肉体労働をする方→(上記)×1.2
おおざっぱではありますが、自分のEERを知ることができます。
繰り返しになりますが、この数字はあくまで参考にするだけなので正確である必要がありません。
「食事摂取基準」に惑わされるな
公的機関の出している「食事摂取基準」には、冒頭でも申し上げた通り「明らかな欠陥」があります。
一番の欠陥は、EERの50~65%を炭水化物から摂取することを推奨している部分です。
これは明らかな糖質過多です。
炭水化物(糖質)は米や小麦、芋など「主食」と呼ばれている食材に多く含まれる栄養素ニャ。
他にも、果物や根菜類も比較的多くの炭水化物(糖質)を含むバブ。
糖質を摂りすぎると様々な病気に罹りやすくなることが指摘されており、糖質の過剰摂取には十分気をつけなければなりません。
それなのに、糖質をたっぷりと含んだ食材が「主食」だなんて、おかしいと思いませんか?
最適な食生活のためには、「主食」という概念を改め糖質の摂取を最小限にすべきなのです。
代わりにもっと摂取すべきなのが、質の良い脂質です。
詳しくは、各栄養素の項目でお伝えします。
各栄養素の摂取指針
それでは一体、どの栄養素をどのような割合で摂取するのが最も健康的なのでしょうか?
残念ながら、最も健康的であると科学的に証明されているタンパク質(P):脂質(F):炭水化物(C)比率は、現在のところ存在しません。
おそらく人によっても、その時々によっても違います。
一方で、おさえるべきポイントはいくつもあります。
ここからは、EER(kcal)を100%として、そこに占めるそれぞれの栄養素の理想的な割合を考えていきましょう。
タンパク質(P)摂取量を決定する
タンパク質というと、皆さんはどのようなイメージを持たれるでしょうか?
ウエイトトレーニングとか、トライアスロンとかしてる人が、プロテインを飲んでるイメージにゃ。
なにも、タンパク質はそういうハードな運動をする人だけに必要な栄養素ではないんだ。
詳しい説明は省きますが、タンパク質は私たちの体の大部分を占めており、こどもから高齢者まで、全ての人にとって最も重要な栄養素です。
タンパク質の摂取量目安は以下の通りで、個人個人の活動量に応じて摂取量を調整しましょう。
- 普段運動をしない、活動量の少ない事務職・デスクワーク中心の方→EERの12%
- 標準的な活動量、歩くことが多い仕事の方→EERの15%
- 運動習慣がある、肉体労働をする方→EERの18%
※数値はあくまで目安です
アスリートの方などは、より多くのタンパク質(20~30%程度)が必要なこともあるかもしれません。
15%の場合、一日のタンパク質必要量(g)は以下の通りです。
なりたい体重×1.5(g)
細かい計算過程は省略しますが、12%であれば1.2を、1.8%であれば1.8を、なりたい体重にかければ良いです。
タンパク質は何からどう摂るべきか
タンパク質摂取の注意点は以下の通りです。
- 加工肉は避ける
- 強火での調理は、多くても週1回まで
- 同じ種類のタンパク質を、連日摂取することは避ける
加工肉や強火調理されたタンパク質には、発がん性やその他有害な作用を持つ可能性が指摘されています。
また、タンパク質は、特定の食材に偏ることなく、卵や魚介類、牛肉、豚肉、鶏肉、大豆製品などを中心に、質の良いものを選択するようにしましょう。
上記で挙げたようなタンパク質源となる食品は、
- 肉・魚であれば100gあたり15g
- 卵・大豆製品であれば100gあたり10g
のタンパク質を含んでいますので、摂取量の目安にしてください。
もっとザックリとした目安が欲しいという方は、「両手のひらくらいの大きさの肉・魚・卵・大豆製品を毎食食べること」を目標にしましょう!
プロテイン製剤の摂取については賛否両論ありますが、食事で十分なタンパク質摂取が可能な場合は不要ですが、一部の人にとっては有効な栄養補助食品となり得ます。
脂質(F)摂取量を決定する
脂質はタンパク質と並ぶ重要な栄養素です。
どのくらいの量を摂取するのが最も良いのかについては、一定した見解がありません。
しかし、一般の方が想像するより、はるかに多くの脂質を摂取しても全く問題ありません。
ただし、質には十分に気をつけなければなりません。
一応の摂取量目安はEERの45~60%です。この場合以下のようになります。
なりたい体重×2.0~2.7(g)
- EERの45%の場合→ ×2.0、EERの60%の場合→ ×2.7
脂質についての誤解をなくす – 良質な脂質を積極的に摂取する
ここで脂質についての長年の誤解、世紀の大冤罪について言及しておかねばなりません。
いまだに「脂質制限こそ万病のもとであり、ダイエットや体作りの大敵である」と考える人が数多くいますが、これは明らかな誤解です。
むしろ、良質な脂質を摂取することが健康に良い影響を与えると同時に、ダイエットや体作りにおいても有効であることが、近年わかってきています。
脂質にはいくつかの分類が存在します。
飽和脂肪酸
バターやココナッツオイル、動物性脂肪などに多く含まれている脂肪酸です。
飽和脂肪酸こそ、最も誤解されてきた脂質の一つです。
かつては、血中LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)や中性脂肪を増やし、心筋梗塞などのリスクを高めると言われてきました。
しかし、近年の研究で明らかになってきたのは真逆の事実です。
食物から摂取した飽和脂肪酸は血中の飽和脂肪酸を増加させず、LDLコレステロールよりもHDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)をより上昇させるため、全体としては心臓病のリスクを下げることが分かっています。*1 *2
にゃんと!ニャンでそんな間違った認識がされるようになったのニャ?
おそらく、脂質の高い食事を摂取する人は総じて、糖質も大量に摂取していたことが原因と考えられているんだ。
この区別をつけることなく実施された研究で、脂質と病気とを関連付けた結果が誤って導かれたというわけです。
血中の飽和脂肪酸を上昇させるのは、他でもなく食物から摂取された糖質です。
体内に存在する脂質は、そのほとんどが糖質を原材料として肝臓で合成されています。
では、食事から脂質を摂取した場合はどうなるのでしょうか?
結論から申し上げると、血中の脂質は増加しません。
食事から摂取する脂質が多くなると、肝臓で合成される脂質の量が減るからです。
少しややこしくなってきたので図で確認しましょう。
食事中 | 肝臓での脂質合成 | 血中 |
---|---|---|
脂質↑ | ↓ | 脂質→ |
糖質↑ | ↑ | 脂質↑ |
真の黒幕は「糖質」であることがおわかりいただけたでしょうか?
ただし、一口にバターや動物性脂肪といっても、質の良いものとそうでないものとが存在するので注意しましょう。
一価不飽和脂肪酸(オメガ9脂肪酸)
一価不飽和脂肪酸は、以下の食品に多く含まれています。
- オリーブオイル
- 菜種油
- アボカド
- ラード
- アーモンド
- カシューナッツ等
「オメガ9脂肪酸」の名でも知られ、健康に良い油というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
概ね正しいのですが、一部の植物油脂で遺伝子組み換えが行われていたり、有機溶剤の使用や高温処理がされていたりするため注意が必要です(キャノーラ油等)。
オメガ9脂肪酸は体に良いのか悪いのか、結局どっちニャ?
細かい話をするとキリがないから「キャノーラ油はなるべく避ける。それ以外は積極的に摂取して良し!」と覚えておこう。
調理に使う油は、エキストラバージンオリーブオイルがおすすめだよ!
オリーブオイルの風味が苦手という場合には、「低温圧搾」あるいは「圧搾一番搾り」と書かれた国産なたね油を使用しましょう。
お値段は高くはなってしまいますが、良質な脂質を選ぶことは、あらゆる不調を改善させ、日常のパフォーマンスを向上させるためには欠かせません。
この記事をここまで読まれた方には、ぜひ最高の自己投資と思って割り切っていただきたいと思います。(笑)
多価不飽和脂肪酸(オメガ6脂肪酸、オメガ3脂肪酸)
多価不飽和脂肪酸は以下のような食材に多く含まれています。
- 多くの植物油脂類(ごま油や大豆油、とうもろこし油等)
- 肉類
- くるみ
- ごま等
- えごま油
- アマニ油
- 魚類等
これらの脂質は体内で合成することができないため、食事から摂取する必要があります(必須脂肪酸)。
オメガ6脂肪酸:オメガ3脂肪酸=1:1~ 4:1 が理想!
オメガ6脂肪酸は炎症作用*、オメガ3脂肪酸は抗炎症作用と互いに拮抗関係にあり、両者のバランスが非常に重要です。
*オメガ6脂肪酸の中でも、リノール酸やアラキドン酸は炎症作用を、γリノレン酸は抗炎症作用を持ちます。
しかしγリノレン酸は非常に希少な成分であるため、ここでは敢えてご紹介していません。
オメガ6脂肪酸の炎症作用は、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー性疾患の原因になると言われているよ。
脂質(g) | オメガ6多価 不飽和脂肪酸(g) | オメガ3多価 不飽和脂肪酸(g) | オメガ6 :オメガ3 | |
和牛/もも/脂身つき(100g) | 18.7 | 0.51 | 0.02 | 25.5:1 |
豚/かた/脂身つき(100g) | 14.6 | 1.55 | 0.1 | 15.5:1 |
鶏/もも/脂身つき(100g) | 14.2 | 1.76 | 0.09 | 19.6:1 |
鶏卵/全卵(50g) | 5.1 | 0.66 | 0.06 | 11:1 |
ごま油(4g) | 4 | 1.64 | 0.01 | 164:1 |
大豆油(4g) | 4 | 1.99 | 0.24 | 8.3:1 |
とうもろこし油(4g) | 4 | 2.03 | 0.03 | 67.7:1 |
出典:日本食品標準成分表2020年版
こちらの表は、私たちが普段口にする食材の脂肪酸組成を示しています。
ご覧の通り、ほとんどの食材でオメガ6脂肪酸がオメガ3脂肪酸の10倍以上を占めていることがわかります。
脂質(g) | オメガ6多価 不飽和脂肪酸(g) | オメガ3多価 不飽和脂肪酸(g) | オメガ6 :オメガ3 | |
まさば/生(100g) | 16.8 | 0.43 | 2.12 | 1:4.9 |
さんま/生(100g) | 25.6 | 0.55 | 5.59 | 1:10.2 |
ぶり/生(100g) | 17.6 | 0.37 | 3.35 | 1:9.1 |
クロマグロ/天然 /赤身/生(100g) | 5.1 | 0.03 | 0.17 | 1:5.7 |
えごま油(4g) | 4 | 0.49 | 2.33 | 1:4.8 |
アマニ油(4g) | 4 | 0.58 | 2.27 | 1:3.9 |
出典:日本食品標準成分表2020年版
一方で、肉類よりは食卓に並ぶ頻度が少ない魚類、普段あまり口にすることのないえごま油、アマニ油はオメガ3脂肪酸の成分量がオメガ6脂肪酸を上回っています。
どちらが良い、悪いという話ではなく、要は「バランス良く食べましょう」ということなのです。
ただし、現代人は圧倒的にオメガ6脂肪酸の摂取が過剰ですから、オメガ3脂肪酸を含むこれらの食材は意識的に摂取したいところです。
理想的なオメガバランスは、オメガ6脂肪酸:オメガ3脂肪酸=1:1〜4:1です。
避けるべき脂質 – トランス脂肪酸
トランス脂肪酸は、百害あって一利なしの絶対に避けるべき脂質です。
マーガリンやショートニングなどの表示のあるものには、一切近づいてはいけません。
これらは、非常に多くの菓子類、パン類、スナック類に含まれています。
最近では、トランス脂肪酸の低減化技術が発達していて、自然食品よりもトランス脂肪酸の含有が少ないと謳っている商品もあるけど、しっかり自分の目で確認するバブ!
加工食品や、高温の油で調理された揚げ物の中にもトランス脂肪酸は多量に含まれています。
スーパーの惣菜コーナー、チェーンの飲食店などに立ち寄る頻度は控えるに越したことはありません。
脂質のまとめ – 質の良い脂質と、避けるべき脂質
脂質に関して、今一度積極的に摂取すべき「質の良い脂質」と、避けるべき「質の悪い脂質」を以下にまとめたいと思います。
また、質の良い脂質の摂取源に関しては、こちらでも紹介しています!
炭水化物(C)摂取量を決定する
最後に炭水化物の話をしましょう。
炭水化物=糖質+食物繊維ですので、分けて考える必要があります。
糖質はどの程度摂取しても良いのか
糖質の摂取量を考える上で参考になる項目は、以下の通りです。
- 米国糖尿病学会は、肥満にならないための糖質摂取量の上限値はEERの43%であるとしている。*3
- 一般的な糖質制限の定義は一日当たり糖質摂取量130g未満、またはEERの10~25%とされる。*4 *5
- EERの10%未満は、俗にケトン食と呼ばれる(てんかんの治療食として用いられる)。
- 2018年に発表された研究論文で、EERの50−55%が最も死亡率が低かったとする報告もあるが、①そもそも設定カロリーが少なく、栄養が不十分であった可能性がある、②糖質摂取が少ない集団で糖尿病罹患率が有意に高かったなどの不可解な点があり、あまり信憑性が高い研究とは言えないのではないか。(にも関わらず、厚生労働省もこの論文を引用し、炭水化物をEERの50−65%にすることを推奨している。)
糖質については、主食好きや甘党の皆さんにとっては心のよりどころであり、自分へのご褒美など心の健康のためには欠かせないと主張する人もいるでしょう。
しかし、現在悩んでいる症状があって、本気で改善したいと考えているのなら、糖質の摂取を今よりも減らすべきです。
そして、「心の健康のために糖質を摂る」というその行動こそが、あなたのつらい症状を生み出す原因となっているという認識を持ちましょう。
特に注意したいのは「精製された糖質」です。
- 「精製される前の糖質」・・・玄米などの全粒穀物、根菜や果実
- 「精製された糖質」・・・白米、小麦粉(パンやパスタなど)、野菜ジュース、果物ジュース(100%であろうとなかろうと)、砂糖、果糖ブドウ糖液糖など
上記を鑑みて、糖質は可能であればEERの25%未満を目指す、どうしてもという人は43%未満に設定する、その内「精製された糖質」は1日あたり5~10g未満を目標にしましょう。
25%の場合、一日の糖質摂取量目安(g)は以下の通りです。
なりたい体重×2.5(g)
タンパク質の時と同様に、10%であれば1.0を、40%であれば4.0を、なりたい体重にかければ良いです。
体重55kgの人で、EERの25%を目指す場合は、1食あたり精製されていない糖質45g程度バブ。
玄米1膳(約150g)には50g程度の糖質が含まれているから、おかずの糖質量も考慮すると、1食あたり玄米半膳(70〜80g)程度が目安量になるよ!
食物繊維の摂取量目安
食物繊維は、動脈硬化やアレルギー性疾患など種々の病態を抑制する働きがあり、十分な摂取を心掛ける必要があります。
以下のような食材を、意識的に摂るようにしましょう。
- 全粒穀物(糖質量に注意!)・・・玄米等
- 芋類(糖質量に注意!)・・・こんにゃく、さつまいも、里芋等
- 果物(糖質量に注意!)・・・キウイ、ブルーベリー等
- 豆類・・・納豆、大豆水煮、ひよこ豆、レンズ豆等
- 野菜・・・葉物、緑黄色野菜、根菜類がおすすめ
- キノコ類・・・椎茸、しめじ、舞茸、エリンギ、えのきたけ等
- 海藻類・・・わかめ、昆布、もずく、めかぶ、ひじき、海苔、あおさ等
食物繊維の摂取量目安は以下の通りです。*6
24 g/日以上
できれば、なりたい体重×0.56(g)
最も「健康的な」栄養バランス -まとめ-
非常にボリュームの大きい内容になってしまったので、ここまでの内容を一旦まとめます。
推定エネルギー必要量(EER)
なりたい体重×40(kcal)
・普段運動をしない、活動量の少ない事務職・デスクワーク中心の方→(上記)×0.8
・標準的な運動量、歩くことが多い仕事の方→そのまま
・運動習慣がある、肉体労働をする方→(上記)×1.2
1日あたりタンパク質摂取量目安
EERの12〜18%{なりたい体重×1.2〜1.8(g)}
下記を目安に、自身の活動量に応じて数値を増減させましょう!
- 普段運動をしない、活動量の少ない事務職・デスクワーク中心の方→EERの12%
- 標準的な活動量、歩くことが多い仕事の方→EERの15%
- 運動習慣がある、肉体労働をする方→EERの18%
- (アスリートの方等→EERの20〜30%)
1日あたり脂質摂取量目安
EERの45〜60%{なりたい体重×2.0~2.7(g)}
- 飽和脂肪酸は良質なエネルギー供給源!
特に、エキストラバージンココナッツオイルに代表される中鎖脂肪酸は、エネルギーに変換されやすく体の脂質代謝を促す。
※ただし、糖質量の適切なコントロール及び、食物繊維やオメガ3脂肪酸の十分量摂取が条件。 - 一価不飽和脂肪酸が豊富に含まれる食材は、基本的に健康的!
調理には、エキストラバージンオリーブオイルを使用し、キャノーラ油は避ける。 - 多価不飽和脂肪酸は、オメガ6:オメガ3=1:1〜4:1が理想的!
- オメガ6は、現代人にとって過剰になりやすいので、摂取を控えめに。
- オメガ3は不足しやすい。えごま油、アマニ油、魚類からの積極的な摂取を!
- トランス脂肪酸は、百害あって一利なし!必ず避ける!
1日あたり炭水化物摂取量目安
「炭水化物=糖質+食物繊維」だったニャ〜
1日あたり糖質摂取量目安
EERの25〜43%未満{なりたい体重×2.5~4.3(g)未満}
※精製された糖質は5〜10g未満
- 糖質は食事からの摂取が必須の栄養素ではない!
- 精製された糖質は、あらゆるつらい症状の原因となり得る!
1日あたり食物繊維摂取量目安
24 g/日以上
できれば、なりたい体重×0.56(g)
健康的な食生活は「継続できる」か?
ここまで読んでいただいた皆さんの多くは、このような感想を持つことでしょう。
「こんなに色々考えて、毎日の食事を決めるとかめんどくさい!時間がない!!無理!!!」
面倒な計算とか、献立の作成とか、調理の手間が省けたらいいのにニャ〜、、
そういう人には、一部の冷凍宅配食サービスや、ミールキットを活用するのがおすすめだよ!
もうお忘れかもしれませんが、もう一度「最適な食生活」の定義を見てみましょう。
①の「健康的な食事」は、言ってしまえば机上の空論であり、②の「継続できる」という要素が揃って初めて、「最適な食事」を実現することができると思います。
- 自炊は、食材の買い出しや後片付けが面倒だし、毎回栄養バランスに配慮したレシピを考えることが大変。
- 忙しくて自炊する時間が取れない、だけど美味しくて健康的なものが食べたい。
こういった悩みをお持ちの方は、ぜひ上記でご紹介したような宅配食サービスを取り入れることを検討してみてください!
おわりに
本記事を読んで、栄養バランスを計算して食事することは、完全栄養食を摂取することに他ならないと感じた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし私は、完全栄養食を食事の代わりとして摂取することは推奨しません。
確かにここに書かれた個々の栄養素をバランスよく、しかも手軽に摂取できるということから大変メリットが大きいように感じてしまいますよね。
しかし、単一の栄養素ばかりに気を取られて、その食材が含むその他の貴重な栄養素をないがしろにしてしまうのは、思わぬ不健康を招く元になる可能性があります。
例えば、「タンパク源」として卵や魚介類、牛肉、豚肉、鶏肉、大豆製品などを挙げましたが、これらは良質なタンパク質を多く含むと同時に、良質な脂質やビタミン、ミネラル等の摂取源でもあります。
また、「精製された糖質」こそ避けるべき食材としてご紹介しましたが、同じく糖質の比率が高い玄米や全粒穀物、根菜類、果物などの食材は、これらもまた健康的な食生活には欠かせないビタミンやミネラル、食物繊維等を効率よく摂取できる良質な食材です。
一つ一つの栄養素だけに注目するのではなく、それぞれ食材単位で良質な栄養素を含むものを選択することが、健康的な食生活を送る上では重要になってきます。
私が精製された食材をおすすめしない理由がここにあります。
未精製の食材は、人間にとって必要なあらゆる栄養素を我々に与えてくれます。
本記事でご紹介した「マクロ管理法的」食生活は、これらの栄養豊富な食材をバランス良く摂取するための手段にすぎません。
タンパク質何g、エネルギー何kcalのような数字にばかり気を取られていては本末転倒です。
本記事を参考にして普段の食生活を送る上で、あなた自身の「体の声」に耳を傾け、あなたにとって最も健康的な食生活を、あなた自身が作っていくという姿勢が最も重要です。
本記事が、その一助になれば筆者冥利に尽きます。
このブログでは、本質を見る目を養ったり、世の中の便利なサービスを利用したりすることで、人生をより豊かにすることを目指しています。
宅配弁当のサービスは、まさに生活を豊かにするサービスの一つです。同じ宅配繋がりで、最近「宅配クリーニング」なるものがあることを知りました。
クリーニングって重たい荷物をいちいち持ち運んだり、わざわざ取りに行ったりするのが面倒ですよね。宅配クリーニングなら、宅配業社が衣類を自宅まで集荷しにきてくれ、完了したら自宅まで届けてくれるんです!
こんなサービスがあるなら、もっと早く知りたかった、、、(笑)
こちらの記事では、宅配クリーニングを28社も徹底比較し、自分に合ったサービスを探すきっかけを作ってくれるので、たいへんおすすめです。気になった方はぜひチェックしてみてください。
参考文献
- Patty W Siri-Tarino, Sally Chiu, Nathalie Bergeron, Ronald M Krauss. Saturated Fats Versus Polyunsaturated Fats Versus Carbohydrates for Cardiovascular Disease Prevention and Treatment. Annu Rev Nutr. 2015 Jul 17; 35: 517-43
- Rajiv Chowdhury, Samantha Warnakula, Setor Kunutsor et al. Association of dietary, circulating, and supplement fatty acids with coronary risk: a systematic review and meta-analysis. Ann Intern Med. 2014 Mar 18;160(6):398-40
- Feinman RD, Pogozelski WK, Astrup A, et al.: Dietary carbohydrate restriction as the first approach in diabetes management: Critical reviewand evidence base. Nutrition 31: 1-13, 2015.
- ロカボオフィシャルサイト.「ロカボとは」.
https://locabo.net/about/, (参照 2022/4/13) - よしまさ内科クリニック.「糖質制限食の定義」.
https://yoshimasa-naika.jp/diabetic/seigensyoku02.html, (参照 2022/4/13) - Reynolds A, Mann J, Cummings J, et al. Carbohydrate quality and human health: a series of systematic reviews and meta-analyses. Lancet 2019; 393: 43445.
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