γ計算

雑記
本日のPOINT

γ計算は、

(濃度) γ=0.06×(体重) ml/hで覚える‼

γ計算は一見複雑ですが、いったん覚えてしまえばあっという間に使いこなせるようになります。

まずはγの定義をおさらいしましょう。

1 γ= 1 μg/kg/min

※「μg」…薬液の質量。「kg」…体重。

体重1kgあたりの薬液の投与速度(μg/min)であるので、その人の体重あたりの速度は、

1 γ= 1×(体重) μg/min

1 μg=1/1000 mg, 1 min=1/60 hなので、

1 γ= 1×(体重)×1/1000÷1/60 mg/h

1 γ= 0.06×(体重) mg/h

おなじみの式が導き出せました。しかし、この式こそが、γ計算をややこしくする諸悪の根源とも言っていい存在なのです。

だって、普段皆さんが見慣れている薬液の投与速度の単位は(ml/h)ですよね?

(mg/h)では実用性に欠けてしまいます。

そこで、(mg/h)(ml/h)に換算しましょう!

右辺を薬液の「濃度(mg/ml)」で割ります。

1 γ= 0.06×(体重)/(濃度) ml/h

(濃度) γ= 0.06×(体重) ml/h

この式が超、超、超重要!です。

多くの場合、薬液により慣習的に調整される濃度というものが決まっています。

そして多くの薬液が、この慣習的に調整される濃度と同じγ数(またはその倍数)で初期投与されます

ここ、超重要なので、お経のように何度も何度も唱えて理解してくださいね!

例えばノルアドレナリンは、3A(3mg/3ml)を生食97mlで溶かし、ノルアドレナリン0.03 mg/mlとして使用することが多いです(施設によって異なりますが)。

そして、ノルアドレナリンは0.03 γ程度から使われることが多いです(施設や文献によって違いあり)。

どちらも0.03ですね!

すなわち、薬液ごとによく調整される濃度を知っておけば、簡単にγ計算ができるというわけです。

この概念がまた超重要ですよ。

以下にいくつか例をお示ししましょう。

例1)ドパミンには200mg/200ml(1 mg/ml)製剤や150mg/50ml(3 mg/ml)製剤がありますが、腎血流増加目的なら1 γ~β作用目的なら3 γ~α作用目的なら9 γ~(7-10 γ~)の投与でそれぞれ期待できるとされます。

体重50 kgの人であれば、(濃度) γ= 0.06×(体重) ml/h= 3 ml/hですから、それぞれ1 γ=1 mg/ml製剤を3 ml/h3 γ=3 mg/ml製剤を3 ml/h9 γ=3 mg/ml製剤を9 ml/hから、投与開始すればいいということになりますね。少しややこしいですか、、?

わかりやすく表でお示しすると以下の通りです。

ドパミン製剤の濃度は2種類

➊ 200mg/200ml→1mg/ml

❷ 150mg/50ml→3mg/ml

ドパミン作用用量体重50kgの人
腎血流増加~➊で3ml/h~
β作用~❷で3ml/h~
α作用~❷で9ml/h~

例2)ミオコールは25mg/50ml製剤や50mg/100ml製剤(いずれも濃度0.5 mg/ml)が使われますが、緊急降圧の場合0.5 γ~急性心不全の場合0.05 γ~使用するように、添付文章に記載されています。

これらも上記式に当てはめると、

体重50 kgの人では、それぞれ3 ml/h~0.3 ml/h~と簡単に計算ができるわけですね。

同様に表で見ていきましょう。

ミオコールは濃度0.5mg/mlのみ

ミオコール作用用量体重50kgの人
緊急降圧0.5γ~3ml/h~
急性心不全0.05γ~0.3ml/h~

濃度γ数投与速度に注目ですよ。

いかがでしたでしょうか?

因みに,

  • 体重50 kg→ 0.06×50= 3 ml/h
  • 体重66 kg→ 0.06×66≒ 4 ml/h

は、計算がとても速く、楽になるので、覚えておくと便利です。

γ計算はとっつきにくく、とても複雑なように思われがちですが、よく使われる薬液の濃度と上記式を押さえておけば、意外と簡単に使いこなせるようになります。

一回で理解できなかった人も、2回、3回と繰り返し読んでみてください。

きっと、「なんだ簡単じゃん!」と納得してもらえると思います^ ^

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