本日のPOINT
- 消化器症状や血清血糖≧250mg/dLで疑う
- 心筋梗塞の合併に注意
- とりあえず生食1L!
- ヒューマリンRは体重×0.1U/h
- カリウム、リンの補正を忘れず
不慣れな当直で、専門外の医師が救急外来でDKAを見たときにすべき初期治療についてまとめたいと思います。
DKAの成因
まずは、DKAがどのようにして成り立つのか理解する必要がありますが、
ここではざっくり、以下の3点を押さえて起きましょう。
- もともと耐糖能異常があること
- きっかけとなる体調不良があること
- 脱水、電解質異常と高血糖を来すこと
DKAの初期対応(診断編)
では、初期対応についてです。
ポイント①:DKAを疑うには
吐き気、嘔吐、下痢などの消化器系の主訴で来院することが多いようです。
そこに糖尿病の既往やインスリン使用歴などが加われば鑑別の上位として考える必要があります。
ポイント②:隠れた併存疾患を探せ
きっかけとなる体調不良が隠されていないか、治療と同時並行で鑑別していきましょう。
膵炎、感染症、心筋梗塞などが最も重要です。
これらをスクリーニングする方法は、お腹を押すこと、一般的な血液検査(CK, AMY含む)、心電図ですね。
ポイント③:DKAのスクリーニング
血清血糖値が250mg/dL以上であれば、まずは侵襲性の低い一般尿を提出しましょう。
見るべき値はもちろんケトン体です。
より疑わしければAガスを採取し、アシドーシスの程度を把握します。
DKAの初期対応(治療編)
それでは具体的な治療手順を見ていきましょう。
まずはこれ
DKAを疑ったら即、生理食塩水1Lを1時間でボーラス投与。
血ガスを取ろう
血ガス(静脈可)を採取し、生食をもう500ml、100-500ml/hでつなぐ。
見るべき値は、酸塩基平衡、電解質、血糖値
インスリン登場
ヒューマリンR(HuR) 0.5ml + 生食49.5ml(HuR 1U/mlとする)を0.1U/kgをボーラス投与し、0.1U/kg/hで持続投与。
血糖目標値
血糖値200mg/dlを目標に管理。
目標値までは1時間おきに血液検査、血ガス(静脈可)施行。
酸塩基平衡や電解質も確認。
原則不要
DKAの治療では、アシドーシスに対する炭酸水素ナトリウム(メイロン)の投与は原則不要。
脱水や血糖値の補正で改善が十分見込まれるため。
電解質補正
- カリウム4.2-4.5 mEq/L
- リン2.0 mg/dl以上
を保つようにアスパラK、リン酸Na等で補正。
専門科に引き継ぐ前に
血糖値目標達成したらHuR投与速度半分にし、糖を含む補液に切り替える。
原則禁忌
インスリン持続は自己判断でやめない。
専門科に引き継ぐまで必ず継続。
初期対応お疲れさまでした。皆さんの役目はここまでです。
初期対応後は内分泌代謝内科など適切な専門科に引き継ぎましょう。
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