本日のPOINT
1時間以内に下記を全部やる。
- Lac測定
- リンゲル液投与
- 血培採取・広域抗菌薬投与
- ノルアドレナリン投与
- 感染巣のドレナージ
敗血症性ショックとは
で疑い、
敗血症性ショック
- SOFA score合計2点以上の上昇
- 適切な輸液負荷にも関わらず、以下の2点を満たす状態
- 平均血圧(mBP)≧65 mmHgの維持に循環作動薬を必要とする
- 血清乳酸値>2 mmol/L(18 mg/dL)
をあわせて診断されます。
ざっくり、以下の項目で異常値が2つ以上あれば敗血症を鑑別にあげましょう。
qSOFA
- 呼吸数≧22回/min
- 意識障害
- sBP≦100 mmHg
SOFA
- 意識障害(GCS)
- P/F ratio
- 血圧低下(mBP<70)
- T-Bil、Cr、Plt
などの項目
初期対応「1時間以内」
それでは敗血症性ショックの初期対応の流れを見ていきましょう。
治療の遅れが生命予後に関わってくるため、以下のことをすべて1時間以内に行います(「1時間バンドル」と呼ぶらしいです)。
1時間バンドル
Lacを測定する。
- Lacを最初の6時間で1割低下させることを目標とする
生存率が上昇するそうです。
30ml/kg/hのリンゲル液を投与する。
- 開始目安はLac≧4 mmol/l、mBP<65 mmHg
- 生理食塩水やHES製剤は用いない(急性腎障害の予防の観点から)
血液培養2セット採取し、広域抗菌薬を投与する。
- 例)メロペネム1g q8hr(8時間ごと投与)+バンコマイシン1g q12hr
最初期には分布容積の変化が起こるため、通常の2倍量程度を要する場合がある。
また、腎機能や年齢によっても投与量が変わることを知っておく。
ノルアドレナリン(NA)を用いてmBP≧65 mmHgを保つ。
- mBP≧65であれば、≧75でも≧85予後は変わらない(NAを増やす必要はない)。
- NA(1mg/ml) 3Aを生食100mlで溶解して用意。0.25γで投与開始(最大0.5~1.5γ)
- ドパミンは用いない(不整脈のリスク高い&予後改善効果が劣る)。
*γ計算については、過去記事 ”γ計算” を参照してください。
- ハイドロコルチゾン100 mgをボーラス投与した後に200 mg/日で持続投与を7日間行うプロトコルを考慮しても良い。
必ずやらねばならないことを押さえておけば慣れない救急診療でも落ち着いて行動できますね。
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